喘ぎ声だけが流れていた ダイヤルQ2という商売
角子 この前、Q2って言ってましたよね。
万太郎 言ったな。あれも説明が要るか。
角子 まったくわかりません。
万太郎 ダイヤルQ2だ。電話をかけると情報が聞けるサービスだな。
角子 情報。
万太郎 占いとか、株価とか、そういう真っ当なものもあった。
角子 あったってことは、そうじゃないものもあるんですね。
万太郎 ある。というか、そっちが主流になった。
角子 どうやって知るんですか、番号を。
万太郎 雑誌だ。裏のページに広告が載ってる。
角子 エロ本ですか。
万太郎 エロ本もあるし、普通の週刊誌にも載ってた。
角子 普通のにも。
万太郎 載ってた。後ろのほうの、小さい広告が並んでるところにな。
角子 それで電話するんですね。
万太郎 する。深夜にな。
角子 また深夜ですか。
万太郎 家族が寝てからだ。固定電話だから、居間にあるんだよ。
角子 部屋にないんですね。
万太郎 ない。だから廊下とか、電話の前にしゃがんでかける。
角子 絵面がひどいですね。
万太郎 ひどい。今思い出しても情けない。
角子 それで、かけたら何が起きるんですか。
万太郎 ……何も起きない。
角子 何もですか。
万太郎 喘ぎ声が流れてるだけだ。
角子 誰かと話せるわけじゃないんですか。
万太郎 番組による。会話できるやつもあったが、多くは録音だ。
角子 録音を聞くだけですか。
万太郎 そうだ。ずっと同じような音が流れてる。
角子 それにお金を払うんですか。
万太郎 払う。しかも分単位でな。
角子 いくらですか。
万太郎 番組によるが、それなりの額だ。数分で結構な金額になる。
角子 切ればいいじゃないですか。
万太郎 切れないんだよ。
角子 なんでですか。
万太郎 もう少し何かあるんじゃないかと思うんだ。
角子 ないですよね。
万太郎 ない。だが期待する。
角子 完全にカモですね。
万太郎 カモだ。あれは人間の心理をよくわかってる。
角子 結局いくら使ったんですか。
万太郎 言いたくない。
角子 また請求書ですか。
万太郎 また請求書だ。しかも電話代と一緒に来る。
角子 バレますよね。
万太郎 バレる。だからQ2は社会問題になった。
角子 問題になったんですか。
万太郎 なった。子どもが親の電話でかけて、高額請求が来るケースが相次いでな。
角子 それは大変ですね。
万太郎 大変だ。だから利用を制限する仕組みができた。
角子 止められるようになったんですね。
万太郎 なった。契約で使えなくできる。
角子 それで減ったんですか。
万太郎 減った。あとはネットが出てきたのが大きいな。
角子 電話じゃなくなったと。
万太郎 そうだ。わざわざ電話をかける必要がなくなった。
角子 今考えると、音だけって不思議ですね。
万太郎 不思議だろう。だが当時は映像なんて選択肢がない。
角子 音だけで想像するんですね。
万太郎 想像するしかない。だから逆に働くんだよ。
角子 どういうことですか。
万太郎 情報が少ないと、勝手に補う。あれは頭の中で作ってたんだな。
角子 自分で作ってたんですか。
万太郎 そういうことになる。金を払って、自分の想像を聞いてたようなもんだ。
角子 むなしいですね。
万太郎 むなしい。だが当時は必死だった。
角子 しゃがんで受話器を持ってたんですよね。
万太郎 その話を繰り返すなwww
