【対談】顔をすげ替える技術 アイコラから生成AIまで

袋とじエロ本

顔をすげ替える技術 アイコラから生成AIまで

角子 今日は何ですか。

万太郎 アイコラの話をしたい。

角子 なんですかそれ。

万太郎 アイドルコラージュだ。略してアイコラ。

角子 コラージュ。

万太郎 写真を合成するんだよ。顔と体を別々に持ってきて、くっつける。

角子 ……それ、まずくないですか。

万太郎 まずい。だが一時期、相当流行った。

角子 いつ頃ですか。

万太郎 ネットが普及し始めた九〇年代の後半だな。

角子 ネットがあったからできたんですか。

万太郎 そうだ。画像編集のソフトが個人でも使えるようになった。

角子 誰が作ってたんですか。

万太郎 素人だ。趣味でやってる連中がいて、それをネットに上げる。

角子 流通もネットですか。

万太郎 最初はな。ただ、そのうち雑誌になった。

角子 雑誌。

万太郎 そうだ。まとめて載せる雑誌が出てきた。書店に並んでたぞ。

角子 堂々と売ってたんですか。

万太郎 売ってた。今考えると異常だが、当時はグレーゾーン扱いだった。

角子 被害者がいますよね。

万太郎 いる。顔を使われた側だ。

角子 その人たちは何もできなかったんですか。

万太郎 最初は難しかったらしい。加工したものだから本人じゃない、という理屈があってな。

角子 屁理屈ですね。

万太郎 屁理屈だ。だが法律が追いついてなかった。

角子 それで、どうなったんですか。

万太郎 訴訟が起きた。名誉毀損とか、そういう形でな。

角子 勝ったんですか。

万太郎 摘発も相次いで、雑誌はだいたい消えた。二〇〇〇年代に入る頃だな。

角子 良かったですね。

万太郎 良かった。あれは擁護できるものじゃない。

角子 じゃあ、その話は終わりですね。

万太郎 ……終わってないんだよ。

角子 どういうことですか。

万太郎 今のほうが簡単にできる。

角子 生成AIですか。

万太郎 そうだ。昔は技術が要った。ソフトを使いこなす必要がある。

角子 今は要らないんですね。

万太郎 要らん。指示を出すだけでできてしまう。

角子 それは問題ですね。

万太郎 問題だ。しかも本物と見分けがつかない水準になってる。

角子 昔のアイコラは、見ればわかったんですか。

万太郎 わかった。境目が不自然でな。だから偽物だと認識できた。

角子 今はわからないと。

万太郎 わからん。そこが決定的に違う。

角子 規制はどうなってるんですか。

万太郎 各国で議論が進んでるようだが、俺は詳しく説明できる立場にない。

角子 また逃げましたね。

万太郎 逃げたんじゃない。半端な説明は害になる。

角子 でも、生成AIの中にはそういうものを作れてしまうものもあるんですよね。

万太郎 あるだろうな。批判を浴びたという話も聞く。

角子 規制されてないんですか。

万太郎 各社が対策はしてるはずだ。ただ、いたちごっこだろうな。

角子 結局、道具が変わっただけですね。

万太郎 変わっただけだ。やってることは三十年前と同じだ。

角子 人間が進歩してないってことですか。

万太郎 ……そうなるな。

角子 でも、一つ聞いていいですか。

万太郎 なんだ。

角子 このサイト、AIを使って書いてますよね。

万太郎 使ってる。隠してない。

角子 それは大丈夫なんですか。

万太郎 ……考えたことはある。

角子 どう考えたんですか。

万太郎 実在の人を勝手に加工しないことだ。そこが線だと思ってる。

角子 線ですか。

万太郎 書くのはいい。事実を紹介するのもいい。だが、その人がやってないことを、やったように作るのは駄目だ。

角子 当たり前のことですね。

万太郎 当たり前だ。だが当たり前が守られてない場所がある。

角子 だから書いておくんですね。

万太郎 書いておく。自分に言い聞かせる意味もある。

角子 珍しく真面目でしたね。

万太郎 この話は茶化せんだろう。

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