エロ個人サイトの時代 自分で公開していた人たち
角子 今日は何ですか。
万太郎 昔のウェブサイトの話をしたい。
角子 今と違うんですか。
万太郎 全然違う。まず、会社が作ってるサイトが少ない。
角子 誰が作ってたんですか。
万太郎 個人だ。素人が自分で作る。
角子 難しくないですか。
万太郎 難しい。HTMLってのを手で書くんだ。
角子 手で。
万太郎 そうだ。文字を並べて、これは見出し、これは画像、って全部指定していく。
角子 大変ですね。
万太郎 大変だ。だからサイトを持ってるだけで一目置かれた。
角子 どんなサイトがあったんですか。
万太郎 趣味のサイトが多かったな。好きなものを延々と語ってる。
角子 今のブログみたいなものですか。
万太郎 近い。ただ、もっと閉じてた。
角子 閉じてる。
万太郎 検索で見つけにくいんだよ。リンクを辿って行くしかない。
角子 リンク。
万太郎 同じ趣味のサイト同士でリンクを貼り合ってる。それを辿って回るんだ。
角子 村みたいですね。
万太郎 村だ。まさにそういう感じだった。
角子 それで、何の話でしたっけ。
万太郎 ……その中に、妙なサイトがあってな。
角子 妙な。
万太郎 自分の写真を載せてる人がいた。
角子 自撮りですか。
万太郎 まあ、そうだ。ただ、服を着てない。
角子 えっ。
万太郎 自分で撮って、自分で載せてる。
角子 誰かに撮らされてるわけじゃないんですね。
万太郎 違う。完全に自主的だ。
角子 なんでですか。
万太郎 わからん。だが、そういう人が確実にいた。
角子 男の人ですか、女の人ですか。
万太郎 両方いたな。
角子 修正はしてるんですよね。
万太郎 してる。そこは法律の話だからな。無修正だと違法になる。
角子 ちゃんとしてるんですね。
万太郎 ちゃんとしてる。そこだけは律儀なんだ。
角子 ちぐはぐですね。
万太郎 ちぐはぐだ。裸を公開するのに、修正はきっちり入れる。
角子 真面目な変態ですね。
万太郎 言い方がひどいが、そうなるな。
角子 どういう気持ちなんですか。
万太郎 見せたいんだろうな。それ以上の説明ができん。
角子 お金にはなってないんですよね。
万太郎 なってない。広告もない時代だ。完全に無償だ。
角子 じゃあ本当に見せたいだけですね。
万太郎 そうだ。だからつわものだと思った。
角子 褒めてるんですか。
万太郎 褒めてはいない。ただ、覚悟が違う。
角子 覚悟。
万太郎 顔は隠してたと思うが、それでもリスクはあるだろう。
角子 バレたら大変ですね。
万太郎 大変だ。それでもやる。あれは何かに突き動かされてる。
角子 今もそういう人はいますよね。
万太郎 いる。SNSとかにな。
角子 じゃあ変わってないんですか。
万太郎 変わってない。ただ、当時は数が少なかった。
角子 珍しかったんですね。
万太郎 珍しい。だから記憶に残ってる。
角子 今は普通ってことですか。
万太郎 普通になった。それがいいのか悪いのかはわからん。
角子 でも、当時のほうが手間はかかりますよね。
万太郎 かかる。HTMLを書いて、画像を加工して、サーバーに上げる。
角子 全部自分でやるんですね。
万太郎 やる。そこまでして見せたいわけだ。
角子 執念ですね。
万太郎 執念だ。俺は雑誌を隠すのに執念を燃やしてたが、あっちは公開に燃やしてた。
角子 逆方向ですね。
万太郎 完全に逆だ。
角子 どっちがいいんですか。
万太郎 ……どっちも大概だな。
