【対談】カメラを持って喋る男 村西とおるという異物

全裸監督村西とおる

カメラを持って喋る男 村西とおるという異物

角子 村西とおるって、ドラマの人ですよね。

万太郎 ドラマの人って言い方は、この人には気の毒だな。

角子 でも私、そこで知りましたよ。

万太郎 まあ、そういう世代か。俺にとっては、実物が先だ。

角子 実物って、会ったことあるんですか。

万太郎 あるわけないだろう。作品が先って意味だ。

角子 紛らわしいです。

万太郎 とにかくな、あの人は業界の中でも異物だった。

角子 どういうところがですか。

万太郎 まず、監督が自分でカメラを持つ。しかも撮りながら喋る。

角子 喋るんですか。

万太郎 喋る。声が入る。それどころか、主役みたいに存在感がある。

角子 裏方じゃないんですね。

万太郎 裏方じゃない。あれは画面の外にいるのに、明らかに出演者だ。

角子 それって当時は普通だったんですか。

万太郎 普通じゃない。だから異物なんだ。

角子 経歴も変わってますよね。調べたら、最初は映像じゃないって。

万太郎 ビニ本だな。前に話しただろう、包装されて中身が見えないやつ。

角子 あれを作ってた人なんですか。

万太郎 作って売ってた側だ。それが映像に移ってきた。

角子 紙から映像へ、って流れそのものですね。

万太郎 そうだ。だから前回までの話と地続きなんだよ。

角子 あと、逮捕された話が有名ですよね。

万太郎 ハワイでな。相当長い年数を求刑されたという話が知られている。

角子 何年でしたっけ。

万太郎 三桁だったと本人が語ってる。ただ、その手の数字は伝わり方で変わるからな。

角子 鵜呑みにしないんですね。

万太郎 この人の逸話は、盛られてるものと本当のものが混ざってる。本人が語ってることでも、話の芸として膨らませてる部分はあるだろう。

角子 珍しく慎重ですね。

万太郎 この人については慎重になったほうがいい。面白い話が多すぎるんだ。

角子 借金の話もありますよね。

万太郎 何十億という規模だな。それも本人が公にしている。

角子 普通、隠しませんか。

万太郎 隠さないのがこの人だ。全部さらけ出して、それを芸にする。

角子 図太いですね。

万太郎 図太い。ただ、それが作品にも出てるんだ。

角子 どういうことですか。

万太郎 被写体に向かって声をかけ続けるだろう。あれは撮る側が隠れないってことだ。

角子 撮ってる人がいることを、隠さない。

万太郎 そうだ。普通は透明でいようとする。この人は逆をやった。

角子 それが新しかったんですね。

万太郎 新しいというか、そういう発想がなかったんだろうな。

角子 でも今のドラマだと、かなり誇張されてますよね。

万太郎 だろうな。あれは作品だから。実際の作品を見た印象とは、また違うはずだ。

角子 じゃあ、私が知ってるのは半分は作り物ですか。

万太郎 半分かどうかは知らんが、そのまま受け取らないほうがいい。

角子 結局、慎重に締めるんですね。

万太郎 この人に関しては、それが正解だと思ってる。

角子 意外とまともでした。

万太郎 意外とは余計だ。

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