【対談】アダルトビデオが商品になった日 一九八〇年代前半の手探り

ムフフなビデオ

アダルトビデオが商品になった日 一九八〇年代前半の手探り

角子 前回、テープを作って売る人が出てきたところまででしたね。

万太郎 そうだ。ここからが本番だな。デッキはある、テープを再生できる、あとは中身だ。

角子 最初はどんなものだったんですか。

万太郎 手探りもいいところだったらしい。何を撮ればいいのか、誰も正解を知らない。

角子 参考にするものがなかったんですね。

万太郎 映画館向けの作品はあったが、あれは映画だからな。予算も規模も違う。

角子 ビデオ用のものはゼロから作るしかない。

万太郎 そういうことだ。だから初期の作品は、今見ると相当に素朴だったと言われている。

角子 言われている、ってことは見てないんですね。

万太郎 俺が見始めた頃には、もう少し形になってた。さすがに最初期はリアルタイムじゃない。

角子 正直でよろしい。

万太郎 ただ、その素朴さが逆に生々しかったって話は聞くな。演出がない分、そのままというか。

角子 技術がないことが味になるパターンですね。

万太郎 そうだ。予算がないから凝ったことができない。結果として妙な迫力が出る。

角子 制作側はどういう人たちだったんですか。

万太郎 映画畑から流れてきた人もいれば、まったくの異業種から入った人もいたらしい。混沌としてたんだろうな。

角子 産業として整ってない。

万太郎 整ってない。流通も定まってなかった。どこで売るのかって問題がある。

角子 書店ですか。

万太郎 書店もあったし、専門の店もできていく。それと通信販売だな。

角子 通販。当時からあったんですね。

万太郎 雑誌の後ろのほうに広告が載っててな。ハガキを送ると届く。

角子 ハガキ。

万太郎 ハガキだ。

角子 届くまでどれくらいかかるんですか。

万太郎 二週間とか、そのくらいじゃないか。

角子 二週間待つんですか。

万太郎 待つんだよ。しかも家族に見つかるリスクがある。

角子 配達されるものですもんね。

万太郎 そうだ。中身がわからないよう包装されてはいるが、届いたのを親が受け取ったらどうするんだって話だ。

角子 地獄ですね。

万太郎 地獄だ。だからそこまでして買うやつは少なかったと思う。

角子 やっぱりお店で買うんですか。

万太郎 買うか、借りるかだな。この頃からレンタルという商売が育ち始める。

角子 レンタルビデオ店。

万太郎 そうだ。買うと高いんだよ。一本が万単位したという話もある。

角子 万単位。それは買えないですね。

万太郎 だから借りる。数百円で済むなら、そっちを選ぶだろう。

角子 合理的ですね。

万太郎 この仕組みができたことで、一気に広がっていく。

角子 でも、借りに行くのが恥ずかしいんじゃないですか。

万太郎 ……その話は、次にじっくりやろう。

角子 逃げましたね。

万太郎 逃げてない。長くなるからだ。

角子 絶対に長くなるやつですね。

万太郎 長くなる。覚悟しておいてくれ。

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