家にビデオデッキが来た日 昭和末期の大事件
どーも、AV万太郎です。50過ぎのオヤジです。連載第2回として、今回は、エロビデオの話をしようと思う。
話者紹介
万太郎、年齢50代。男。ビニ本、エロ本からアダルトビデオ、そして昨今の動画まで、AVをこの上なく愛する普通の妻帯者。
角子、平成生まれの20代。エロにちゅうちょなく会話ができる恥じらいの無い大学生。小遣い稼ぎで参加。
それでは、レッツ、ビデオ!
角子 前回、紙の話で終わりましたよね。次は何が起きたんですか。
万太郎 ビデオデッキだ。家庭に映像がやってきた。
角子 それって、そんなに大事件ですか。
万太郎 角子ちゃん、それまで動く映像は映画館にしかなかったんだぞ。それが自分の部屋で見られる。
角子 部屋にあったんですか。
万太郎 いや、居間だ。当時は一家に一台。俺の家に来たのは中学の終わり頃だったな。
角子 居間。それだと見られないじゃないですか。
万太郎 そこなんだよ。
角子 どうしてたんですか。
万太郎 深夜だ。家族が寝静まってから、音量を最小にして。
角子 音は消せないんですか。
万太郎 ゼロにすると何も聞こえないだろう。かといって上げると廊下に響く。あの調整は職人技だった。
角子 職人技って言い方でごまかそうとしてますよね。
万太郎 ごまかしてない。あれは本当に技術だった。
角子 そもそもテープはどこから手に入れるんですか。
万太郎 最初は借りるしかなかった。友達の兄貴のとか、そういう経路だな。
角子 回し借り。
万太郎 そうだ。何人も経由してるから、画質がひどい。ダビングを繰り返してるからな。
角子 コピーしてたんですか。
万太郎 当時はデッキを二台つなげばできたんだ。世代を重ねるごとに画面がザラザラになっていく。
角子 それ、見えるんですか。
万太郎 見えないこともない、くらいだな。輪郭がわかれば十分だった。
角子 基準が低すぎませんか。
万太郎 低いさ。でも当時は動いてるだけで感動なんだ。紙は動かないんだから。
角子 言われてみればそうですね。
万太郎 この頃はまだ、規格の争いもあった。ベータとVHSってやつだ。
角子 名前だけは聞いたことあります。
万太郎 結局VHSが勝った。理由については諸説あってな、アダルト作品の普及が影響したという話がよく語られる。
角子 それ、根拠あるんですか。
万太郎 ……はっきりした証拠はないらしい。よく言われる話ってだけだ。
角子 じゃあ言わないでください。
万太郎 言いたくなるだろう、そういう話は。
角子 わかりますけど。
万太郎 まあ、記録時間の差とか、価格とか、いろいろ要因はあったみたいだな。
角子 そっちのほうが現実的ですね。
万太郎 とにかく、この頃に土台ができたんだ。デッキが各家庭に入って、テープを再生する環境が整った。
角子 需要はあるのに、供給がまだない状態ですね。
万太郎 鋭いな。そこに気づいたやつらが出てくる。
角子 商売にした人たちがいるわけですか。
万太郎 そうだ。テープを作って売る。それが商品として成立し始める。
角子 それがアダルトビデオの始まりですか。
万太郎 始まりだな。まだ手探りの時代だが。
角子 次はその話ですね。
万太郎 ああ。ただその前に、一つ言っておきたいことがある。
角子 何ですか。
万太郎 音量を絞って見る技術は、たぶん今の若い連中にはない。
角子 いらないですからね。イヤホンがあるので。
万太郎 ……そうか。イヤホンか。
角子 思いつかなかったんですか。
万太郎 当時のテレビにイヤホン端子なんてなかったんだよ。
角子 なるほど。じゃあ仕方ないですね。
万太郎 わかってくれたか。
角子 技術の進歩ってすごいですね。
万太郎 褒めてるように聞こえないな。
